インテリアとしての書道
ある程度書の勉強をすると稚拙っぽい字が多くなる。
「これってうまいの?」と言われるが本人曰く、計算されたものなのです。
デタラメにくずしていたり、勢い余った字でないことはたしかです。
様々な要因の複合的な印象を与えるため、言わば作品を、一枚の絵で
見立てる確信犯なのです。
「ヘタ」に見える書ほど一段高い技術が必要です。
多字数の場合も特に全体像を把握し、その中でバランスを大事にします。
墨量の加減においても目立たせたい所はわざとカスレた方がより際立ちますし、
下の作品では[那]・[計]の縦画は同じ方向を向いていますが、あえてカスレと、
無いにょろ~とした線で差別化してるのでくどくないなどの計算もまた面白い。
単体の字形においても、縦長や扁平、正方形などなど、組み合わせをチョイスしながら
白の余白をいかします。
蘇軾
〈和子由澠池懷舊〉句より
泥上偶然留指爪
鴻飛那復計東西
泥の上には偶然爪の跡が残るが、飛び去った雁はどの方角へ行ったのかわかりはしない。